昔の話

以前同じ敷地内に親戚が住んでいました。
その時に親戚はコリー犬のサリーを飼っていました。
我が家にはハスキーのルーがいました。
ルーよりちょっと後に家族になったサリーはよい両親を持っていたので
ショーに出して楽しんでみようとなり、知人に紹介された
九州方面では割と有名なプロハンドラーさんの所へ
ショーマナーを入れるために預けられました。

当初は一ヶ月の予定だったのですが、
「思ったより早くマナーが入ったので」という連絡があり
一週間程早く迎えに行くことになりました。
サリーを迎えに行く前日に、我が家のルーは出産をしていました。
サリーが帰ってきたら子犬がいるからびっくりするかな?
などと楽しい会話をしつつ迎えに行き、やっと家に着いたところ
車から降りるや否やサリーは水のような血便をしたのでした。
それが事の始まりでした。

あわてて病院へサリーをつれて行くけども原因がわからず
できるだけの処置をして帰ってきました。
すると夜になって、ルーの子犬の様子がおかしくなりました。
ずっと泣き続けている上に黄色の水状の便を垂れ流している。
夜中を徹して見てくれる動物病院を片っ端に探しましたが
どこも冷たい返事ばかり。やっと見てくれる病院が見つかったのは朝方でした。
そのころには一番最初に泣き出した一番小さな末っ子のオスの子が一晩中鳴き続け、
最後には声も出なくなり、小さな命は天に帰っていきました。
あの小さな叫びは今でも忘れることができません。

そのころには母犬のルーもサリーも具合が悪くなりサリーと親子共々病院へ。
そして、病院の先生に診てもらい、経緯を話すと
伝染性の病気で感染はどう考えてもそのハンドラーの所だろうということでした。
「サリーがこれだけの症状だということは向こうでも具合が悪かったはず。
あと一日、帰ってくるのが遅ければサリーは死亡していたでしょう。」とも言ってありました。

そして、まだこの病気は学会で発表もできていない病気だとおっしゃっていました。
体外に出てしまうと割りとすぐに原虫が死んでしまう上に、
感染するとすぐに発症し、短期で死亡してしまう為なかなか研究も進まない病気だそうです。
いわゆる伝染すると潜伏期間が短く短期間にての致死率が高い病気ということです。

ですがその先生はその病気に対しての独自の研究をなさっていたらしく
私たちの犬はたまたま運良くその先生に診てもらう事ができ、
亡くしたのは子犬3匹だけですんだのです。
結果的に、サリーは毎日の注射と薬で二週間ほどで元気になることができました。
ルーは出産したばかりで体力が落ちていたらしく一ヶ月ほどの入院。

入院中の姿は哀れなものでした。前足には一日中点滴をさされ首にはカラーを。
帰りたくて夜中にスチールの丈夫な檻を開き点滴を引きちぎり、
病院のドアを朝まで引っ掻いていたこともあったそうです。
子犬も入院しており生まれて間もない小さなその体と大して変わらないほどの
大きな注射を背中に毎日打たれました。
その注射はとても痛い注射らしく、成犬でも悲鳴を上げるというものでした。

生まれて二日目の子犬が声がかれるまで泣き叫ぶほどのお腹の苦痛を感じ、
治療のために毎日その大きくて痛い注射を打たれたのに、三匹の子犬は亡くなりました。
その三匹の子犬たちは何のために生まれてきたのでしょうか?
今でもそのことを思い出すと涙があふれて仕方ありません。

そして感染場所は明確なためにハンドラーさんに連絡を取り
実際にその状態を病院へ見に来ていただきました。
その時は「前向きに対処させていただきます。」という言葉を残して帰られました。
が、その後の対処はまったく誠意のかけらもない対応でした。
結果的に何の賠償もなく、謝りの言葉もまったく無しでした。
こんな杜撰な管理をし、決して安くはないお金を取っているプロハンドラーもいるのです。
このプロハンドラーさん宅は私が知っている限りで親の代からペットショップもしており
お父様はJKCの方でも割と名の知れた役員もなさっていたようです。
ですが、私はこの方に
プロの資格はないと思っています。

〜追記〜2004.8.12
しかしながらJKCなどの犬界の中ではこういったことも
仕方ないとしてまかり通っている部分が多々あります。おぞましい世界です。
もしこれが一般社会などであれば補償問題、信用問題で一番につぶれる事でしょうね。
まったく汚い世界です。

しかし、こういった事を念頭において置くしかないのです。
当時私がまだ10代半ばで何もそういったことを知らずに起きた事とはいえ、
外から帰ってきた犬を安易に在舎している犬に近づけた私の管理ミスでもあります。
(犬同士は接触はさせていませんが実際感染しました。)
事前に病気や伝染病のことももっと知っておくべきでした。今思えば知らぬが恥です。
この事は大きな代償を払った勉強だと思い、心に刻み付け、忘れないようにしたいと思います。
そして何らかの犬業界に首を突っ込む事があったとしても、
上に書いたプロのような井の中の蛙的な非常識な人間にはなりたくないと思っています。
そうでないと、私は死なせた子犬たちに顔向けできません。
※もし、ここのページを見た方で、愛犬がこのような症状を起こし
病院に連れて行っても治る様子がない場合は病院を紹介いたしますのでメールを下さい。
ただ、その時からだいぶ年がたっていますので
今ではどこでも治療できる病気になっているかもしれませんが・・・
といいますか、そうなってくれていることを願います。

あくまでも我が家の場合ですが、症状としては、
大型の成犬の場合でも感染と思われる日から2日目には
血便や水状の一種独特な臭いのする便ををします。
便自体が真っ赤になるほどの血便もあります。そして完全に食欲を失いぐったりとします。
ひどい場合は感染から3〜4日程で死亡するとのこと。

子犬においては感染からたった1日で一匹が死亡。
できる限りの処置をした子犬も後二匹が数日で死亡。
黄色の水状の独特の臭いがするひどい下痢をします。

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