| [ハイサーイ!私の徒然草] |
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修学旅行に行くと2日目あたりの夕食後に広間に集まって、ステージでクラスごとに何か余興をする。それまで、生徒たちのこのような涙の流し方を目の当たりにしたことはなかった。クラスの男女全員が泣くなんて。 私のクラスはいつも昼休みになると教室から男子の姿がこつ然と消える変なクラスだった。女子の方が活発な子がたくさんいた。女の子に興味はあるけれども恥ずかしがりだから昼休みになると逃げる。どこに逃げるかと言えば、私がいる4階の理科教室だ。男の子であふれる。 ある大掃除の日、女の子が消えたすきに、男の子が教室を占拠した。女の子の似顔絵を黒板に描いたりしてわいわいやっていたが、廊下で足音がするとあわてて消す。女の子におびえている。女の子たちは海、山の自然に恵まれてのびのびと育っているから迫力がある。 男の子が授業中に細々と「先生!」と手を挙げると、女の子が意地悪して、もっと大きな声で、「先生!先生!先生!」と言って何人も手を挙げるから、俺たち質問できん、という。 そんなありさまだから修学旅行の余興についてクラスで話し合い等できはしないだろうと思っていた。自分たちで話し合っておきなさいといって、生徒に任せた。 あいつら出てくるかしらと当日になって心配になった。私は司会をしていた英語の先生に、もし、うちの生徒がぐずぐずするようだったら、つなぎに私を指名してくれるよう頼んでおいた。 案の定もたもたして出てこない。司会が「早く出てこんか!出てこないなら担任が責任とって歌います」と言って私を指名した。未だかつて教師がステージに上がって歌ったことなどなかった。生徒は純粋だからショックを受けた。 私が歌った。テンポの速い歌でたまたま私は乗っていた。生徒たちには大受けだった。「アンコール、アンコール」で拍手が鳴り止まない。困った。アンコールと言われてもね。もう1曲別の歌を歌っているうちに、クラスの生徒たちが出てきた。みんなハンカチを目に当てて泣きながら出てきた。そして歌った。 夜の点呼で部屋をまわったらまだ泣いていた。「先生、ごめん」という。日頃真面目な子よりも活発で涙など見せるはずのない女の子ほど泣いた。男の子は「ぼくたちちゃんと準備していたとよ」といって、湿っぽかった。「べつに責任とって歌ったわけじゃない、歌うチャンスをうまくとらえただけ」で、旅行から帰ってからも、廊下ですれ違うとき、「先生!乗ってましたねー」と声をかけてくる。 私は、生徒が「涙」という形で素直な気持をさらけ出したことに感動した。 |