掃除をさぼって帰ると/03

1988年(昭和63年)、高校1年生のクラス

Sat.July.11.2009

[ハイサーイ!私の徒然草]

    このクラスには隙あらば掃除をさぼって帰る生徒がいる。6時限目の授業が終わるとすぐに自分のクラスに駆けつける。もういない。靴箱を調べる。靴もない。駅に向かったが、途中の踏切で列車が通過した。しまったあれだ!とりあえず深追いはやめた。

    仕事が終わって帰る途中生徒の家に立ち寄った。8時を過ぎていて、外は真っ暗である。農家のブロック塀の門の脇にそっと車を止めて、門を入る。農家だから広々としている。右手の納屋でお父さんが作業をしている。黙って母屋に向かう。

    「ご免下さい!」小学生くらいの弟が出てきた。「お兄ちゃんはいる?私はお兄ちゃんの学校の担任の先生だけど、ちょっと呼んでくれるかな?」

    本人が現れた。私が何も言う前から、「僕、掃除したけんね」と言い張る。「ここではまずいから外へ出てきなさい」玄関脇の暗がりで「授業が終わって他の生徒が帰り支度しているときには、すでにいなかったじゃないか。いつ掃除をしたというのか」後は同じようなやりとりが続く。

    ごめんなさいと言ったらすぐに帰るつもりだったが、この分だと、ちょっと時間が長くなりそうだ。両親は、自分の息子が玄関脇で担任から叱られていることなどつゆ知らず。

    最後の切り札、というよりは切り上げるための切り札は、「言い張るなら、あそこの納屋で仕事をしておられるお父さんか、お母さんと一緒に話そうか」と、脅した。

    生徒は案の定。「ごめんなさい。あした皆には謝ります」と言ったから引き上げた。