41年前の出来事
A happening in a streetcar 41 years ago
Friday Sept.15. 2000
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私は今から41年前大学に入学した。 5月のある日の午後、福岡市電の中でそれは起きた。 年にして60歳くらいの、アメリカ人のおじさんが福岡市動物園に行きたがっていた。そのおじさんは日本語がわからない。 英語で書かれた福岡市の地図を指さしながら、動物園に行くにはどこで下車したらいいか車掌さんに何度も何度もたずねた。 車掌さんは戸惑って立ち尽くすだけだった。車掌さんもまた英語がわからなかった。 とうとうそのおじさんはZoo!Lion!Elephant!と大声で叫んだ。しかし車掌さんは呆然としたままだった。 多数の乗客がいたけれども、誰もおじさんを助けなかった。刻々と電車は動物園に近づき、私は少し焦ってきて、とうとうその光景を見かねた。 思わず、”Next Next stop!”といった。 しかし、おじさんには通じなかった。"The next but one station."というべきだった。 私はおじさんを動物園まで連れていくしかないと思った。 I will take you!といっておじさんと一緒に動物園前の停留所で下車した。 そのおじさんは沖縄から福岡に着いたばかりだった。沖縄では1週間毎日雨ばかりだったと言った。そりゃそううだろう、沖縄では梅雨の季節だから。福岡の梅雨は6月です。。 私はおじさんに出身地はどこですかとたずねた。 彼は出身地はイリノイ州だと言った。そして歩きながらずっと故郷のことを話してくれた。私が「イリノイ」と言ったら、発音を何度も何度も直してくれた。 おじさんの話はほとんど聞き取れなかったけれども、不思議なことにおじさんが言ったことの意味はわかった。 動物園の入り口にやって来た。おじさんは小銭入れをひっくり返して、小銭をジャラジャラと手のひらに広げた。 入場料分の10円銅貨を選んであげた。 私は"Are you all right?"といったが、おじさんは意味がわからなかった。それで、もう一度言った。 やっと私が帰りたがっていることを察した。おじさんは大きなゼスチュアで何度もThank you! Thank you!といっておじさんのあたたかく、大きな手で私の手を握った。 今でもそのおじさんのあたたかく大きな手の記憶が私の心に残っている。 私は先月ラスベガスに行った。私自身41年前に会ったあのおじさんの気持がわかった。 実は1959年と言えば、戦後15年、まだそんなに経済的に豊かな時代ではなかった。財布に現金は入ってはいなかったのです。学生が余分なお金を持ち歩けるような時代ではない。昼食代と電車賃くらいのもので心細かった。 |