ニカワとコラーゲンとサプリメント

Sat.Nov.29.2008

[ハイサーイ!私の徒然草]  

   私が幼い頃から座敷にあった紫檀の飾り棚のニカワが劣化してあちこちはずれ、いつか修理しなくてはと気にかかっていた。昔、家具などの接着剤といえばニカワ(膠)に決まっていた。うどんほどの太さの黄色い干涸びた棒状のニカワを水に入れて加熱すれば解けて接着剤になる。

   ニカワはコラーゲン。コラーゲンといえば皮膚の真皮、靱帯、腱、軟骨などを構成するタンパク質であり、タンパク質は20数種類あるアミノ酸がペプチド結合で鎖のようにつながった大きな分子だ。

   コラーゲンは分子量10万以上もある巨大分子。アスパラギン酸というアミノ酸の分子量が133、水の分子量が18だからコラーゲンの大きさがわかる。このままでは皮膚からも消化器からも吸収されない。



   コラーゲンの分子量が仮に10万とすれば、約750個のアミノ酸が結合してできている計算になる。小腸壁から吸収されるのはせいぜいアミノ酸2〜3個が結合したペプチドまでという。

   コラーゲンは消化酵素によってアミノ酸やアミノ酸が2〜3個つながったペプチドにまで分解されて消化器から吸収され、血液中に入る。

   魚や肉、あるいは他の食品由来のアミノ酸はいくらでも体内に吸収される。元のタンパク質はちがっていても、分解されてしまえばアミノ酸はアミノ酸である。

   煮込んだ肉汁や魚汁が冷えて、コラーゲンが変性して生じたゼラチンの作用で煮凝りとなったものをゼリーという。ゼリーだって、おでんのスジだっていい。コラーゲンを食べなければコラーゲンができないというものでもない。

   コラーゲンをサプリメントとして食べたとしても、コラーゲン由来のアミノ酸が再び皮膚でコラーゲンに再合成されるとは常識では考えられない。

   アミノ酸からタンパク質が合成されるには、細胞核内にあるタンパク質合成の設計図である遺伝子DNAと細胞質内のm-RNA(メッセンジャーRNA),t-RNA(トランスファーRNA),リボソームがの働きで設計図通りのタンパク質が合成される。アミノ酸が勝手に結合してタンパク質ができるわけではない。

   テレビのコマーシャルで、コラーゲンを1000分の1の長さに切り刻んで肌から吸収されやすくしたといった。コラーゲンをこんなに小さく切断すれば、吸収はされるかもしれないが、最早コラーゲンではなくて、アミノ酸か、ペプチドである。

   それだったら最初からアミノ酸を肌に擦り込んだほうが早い。お醤油だってお味噌だって味の素だってアミノ酸はどこにでもある。バランスのよい食事をして、タンパク質を十分摂っていればいいのではないか。

1、「年令とともにコラーゲンの量が急減するから、コラーゲンの代謝を促進するためには、1日数グラムのコラーゲンを摂取する必要がある」という。もっともらしく聞こえるが、コラーゲンを摂ればコラーゲンが増えると言っているにすぎない。

2、次に、「皮膚に塗っても浸透する最新コラーゲン」としてアミノ酸が三つだけ結合した「トリペプチド」が登場したとある。

   コラーゲンはアミノ酸の鎖の3つ目ごとにグリシンというアミノ酸があって、このグリシンの位置で酵素を使って切断して作るという。これがコラーゲンの最小単位になるという。

3、真皮のコラーゲンはアミノ酸が2000個も3000個も網の目のようにつながったものだという。アミノ酸3個のトリペプチドくらいでどれぼどの意味があるのだろうか。

   それに対しては、真皮に浸透して線維芽細胞のコラーゲン産生と保湿成分のヒアルロン酸の産生を増やすとある。もっともらしくは聞こえるが、一番肝心な部分の説明が曖昧である。

   数百種類のトリペプチドが再結合するときにDNA(遺伝子・設計図)は必要ないのか。リボゾーム抜きに合成されるタンパク質もあるかも知れないが、CMではもう少しきちんとと説明してくれなくてはわからない。